早歩きをすると、心臓がいつもより速く動くのを感じることがあります。心拍数が上がるのは、運動中の体を支える循環の調整の一つです。
今回は「心臓が速く動く」だけでなく、送り出す血液の量から考えてみます。
心臓は血液を送り出すポンプ
血液は酸素などを運びます。活動する筋肉の要求に合わせ、体は心臓の働きや血流の配分を変えます。一般的な動的運動では、心拍数と心拍出量が増加します。[1,2]
心拍出量は、心臓が1分間に送り出す血液量です。
心拍出量=心拍数×1回拍出量
1回拍出量は、1回の拍動で送り出す血液量を表します。血液を送る量は、速さだけで決まるわけではありません。[1]
自律神経が、心臓の働きを調整する
運動の開始や強度の増加に伴って、副交感神経と交感神経の働きが変化し、心拍数などが調節されます。筋肉からの情報なども関わり、全身の要求に対応します。[1,2]
「気合で上げる」というより、神経や循環の仕組みが連動していると考えると分かりやすくなります。
同じ心拍数なら、運動の負担も同じ?
心拍数は便利な情報ですが、それだけですべてを表せるものではありません。年齢、体力、体調、薬剤などによって反応は異なります。[1] 別の人と数値を比べるより、運動内容や自分の普段の反応と合わせて見ることが大切です。
この記事では、目標心拍数や運動の可否を一律には決めません。心疾患などがある方は、担当者が設定した条件を優先します。
今日のポイント
運動中は、心拍数や1回に送り出す血液量などが調整され、活動を支えます。「心拍数が高い=良い運動」とは限りません。胸痛、失神、強い息苦しさを伴う場合は運動を中止し、緊急性に応じて医療機関へ相談してください。[3]
参考資料
1. Patel PN, et al. Exercise Physiology. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK482280/?report=printable
2. Clinical Methods. Exercise Capacity. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK404/
3. NHS. Heart palpitations. https://www.nhs.uk/symptoms/heart-palpitations/
確認日:2026年10月29日。個別の運動処方や診断を目的とした記事ではありません。
生理学入門シリーズ
- 第1回:筋肉が力を出す仕組み
- 第2回:筋力と筋持久力の違いとは?「強い」と「長く続けられる」を分けて考える
- 第3回:速筋と遅筋の違いとは?筋肉を「瞬発力型・持久力型」だけで決めつけない
- 第4回:筋肉を動かすエネルギーとは?ATPと3つの供給経路をやさしく解説
- 第5回:運動すると呼吸が速くなるのはなぜ?酸素と二酸化炭素の出入りを知ろう
- 第6回:運動すると心拍数が上がるのはなぜ?心臓と血液の働きをやさしく解説
- 第7回:筋トレで筋力が上がるのはなぜ?筋肉の大きさと神経の働き
- 第8回:伸張反射とは?ストレッチと筋肉のセンサーの関係をやさしく解説
- 第9回:バランスは筋力だけで決まる?目・耳・体の感覚が協力する仕組み
- 第10回:痛みはどうして起こる?「刺激の情報」と「痛みの体験」を分けて考える

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