運動すると呼吸が速くなるのはなぜ?酸素と二酸化炭素の出入りを知ろう

平地では普通に話せるのに、坂道を上ると息が弾む。身近な変化ですが、呼吸が増えるのには、筋肉の活動とつながる理由があります。

今回は、呼吸の回数だけでなく「深さ」にも注目してみましょう。

筋肉の活動に合わせて、呼吸も変わる

運動中は、筋肉の代謝が活発になります。体は、必要な酸素を取り込み、つくられた二酸化炭素を外へ出すため、呼吸や循環を調整します。これは肺だけで完結する働きではありません。神経、心臓、血管、筋肉などが関わる反応です。[1,2]

「換気量」は、回数と深さで変わる

1分間に肺へ出入りする空気の量を、分時換気量といいます。大まかには、次の関係で表せます。

分時換気量=1回の呼吸量×1分間の呼吸回数

運動中は呼吸が速くなるだけでなく、1回に出入りする空気の量も変わります。[1] ただし、出入りした空気のすべてがガス交換に使われるわけではありません。

酸素が減ったからだけではない

呼吸の調節には、運動に関わる神経からの働きかけや、体内の二酸化炭素、酸塩基の状態などが関わります。[1,2] 息が弾むことを、すぐに「血液の酸素が足りなくなった」と言い換えることはできません。

たとえば、同じ坂道でも、上る速さやその日の体調で呼吸の感じ方は変わります。呼吸回数だけから体力や病気を判断するのも難しいところです。

普段と違う息苦しさは、別に考える

運動に伴う息の弾みと、急な強い息苦しさは分けて考えます。胸痛、失神、安静でも続く強い息苦しさなどがある場合は、運動を続けず、緊急性に応じた医療機関への相談が必要です。[3]

今日のポイント

運動中の呼吸は「回数」と「深さ」の両方で変わります。酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するため、循環や神経の働きと連動しているのです。

参考資料

1. Patel PN, et al. Exercise Physiology. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK482280/?report=printable
2. Clinical Methods. Exercise Capacity. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK404/
3. NHS. Shortness of breath. https://www.nhs.uk/symptoms/shortness-of-breath/

確認日:2026年10月29日。個別の症状を診断する記事ではありません。

生理学入門シリーズ

  1. 第1回:筋肉が力を出す仕組み
  2. 第2回:筋力と筋持久力の違いとは?「強い」と「長く続けられる」を分けて考える
  3. 第3回:速筋と遅筋の違いとは?筋肉を「瞬発力型・持久力型」だけで決めつけない
  4. 第4回:筋肉を動かすエネルギーとは?ATPと3つの供給経路をやさしく解説
  5. 第5回:運動すると呼吸が速くなるのはなぜ?酸素と二酸化炭素の出入りを知ろう
  6. 第6回:運動すると心拍数が上がるのはなぜ?心臓と血液の働きをやさしく解説
  7. 第7回:筋トレで筋力が上がるのはなぜ?筋肉の大きさと神経の働き
  8. 第8回:伸張反射とは?ストレッチと筋肉のセンサーの関係をやさしく解説
  9. 第9回:バランスは筋力だけで決まる?目・耳・体の感覚が協力する仕組み
  10. 第10回:痛みはどうして起こる?「刺激の情報」と「痛みの体験」を分けて考える

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