階段・スクワットで膝が痛いときの運動調整|動画で学ぶ膝蓋大腿関節痛の実践編

階段を下りるときや、スクワットで腰を落としたときに、膝のお皿の周りが痛む。「鍛えた方がいい」と聞いても、どの運動から始めればよいのか迷いますよね。

この記事では、膝蓋大腿関節痛の基本記事に続く実践編として、運動を選び、負荷を調整する手順を整理します。YouTubeの教育動画と制作者の解説、2024年のベストプラクティスガイドを参考にしています。

まず押さえたいのは、動画と同じ深さ・回数まで頑張ることより、自分に合う開始点を見つけること。以下は、膝蓋大腿関節痛と評価された方が担当者と相談するための一般的な例です。急なけがや、原因の分からない膝痛を自己判断するためのメニューではありません。

先に確認:運動より受診を優先したいとき

転倒やひねりの後に体重をかけられない、急に大きく腫れた、膝が引っかかって伸びない、赤み・熱感と発熱があるときは、自己流のトレーニングを始めず、速やかに医療機関へ相談してください。[4]安静時にも強い痛みがある、症状が悪化している場合も診察を受けましょう。

動画を参考にするときの見どころ

Physiotutors:膝だけでなく股関節も見る

Hip & Knee Strengthening Protocol | Patellofemoral Pain Syndrome PFPS(Physiotutors)は、股関節と膝の筋力トレーニングなどを扱う教育動画です(2018年公開)。概要欄ではNakagawaらの2008年の研究を参考文献として挙げています。

見るときは「お皿の周りが痛いから、膝の運動だけでよい」と決めず、股関節を使う選択肢もあることに注目してみてください。古い動画の回数や方法を全員共通の処方とせず、現在の評価と照らし合わせて使います。

E3 Rehab:難しい運動を、できる形へ戻す

Patellofemoral Pain(E3 Rehabの解説動画)と制作者による対応記事が参考になります。対応記事では、椅子を使うスクワットやステップ動作などについて、支え・動く範囲・台の高さで難度を変える例を紹介しています。

PT NOTEでは、その考え方を日常の「階段がつらい」「しゃがみにくい」に当てはめ、下の調整表にまとめました。動画全体の翻訳や、紹介プログラムの再現ではありません。

現在の推奨では「運動+説明」が土台

2024年のベストプラクティスガイドは、教育を土台にした膝を対象とする運動療法を中心に、必要に応じて股関節の運動などを組み合わせることを勧めています。テーピング、足底装具、動作や走り方の練習などの追加は、評価・希望・反応に合わせて選びます。[1]

つまり、特定の一種目を探すだけでなく、今の生活や練習でどれだけ膝に負担がかかっているかも一緒に整理します。

運動を選ぶ前に、今日の負荷を棚卸しする

筋トレが少なくても、通学での階段、仕事中のしゃがみ込み、部活動のジャンプが重なる日があります。運動メニューだけを減らしても変わらないときは、生活を含めた一日の合計を見てみましょう。

  • どんな動作で、膝のどこが痛むか。
  • 回数・時間・坂道・階段など、最近増えたことはあるか。
  • 終わった直後だけでなく、その晩や翌朝はどうか。

痛いか確かめるために階段を何度も往復する必要はありません。普段の生活で感じたことをメモするだけでも、相談の材料になります。

実践:3つの運動候補と調整方法

すべてを同じ日に行う必要はありません。担当者と相談し、まず無理なくできるものを選びます。回数は一律に決めず、初回は数回で動作と反応を確認し、反復してもつらさが積み上がらない量を探します。

1.高めの椅子から立つ・座る

動かない椅子を壁につけ、足を床に置きます。必要なら机などの安定した支えを使い、立ってから、ゆっくり座ります。深くしゃがむより始めやすいことがあります。

つらい場合は座面を高くする、手で補助する、動く範囲を小さくする方法を試します。勢いで立つ、座るときに落ち込む場合は負荷を戻しましょう。膝の向きは無理に固定せず、足の向きと大きくねじれず、安定して動ける範囲を探します。

2.両脚のブリッジ

仰向けで膝を曲げ、両足を床につけます。息を止めず、お尻を小さく持ち上げてゆっくり下ろします。腰を強く反らして高さを出す必要はありません。

膝や腰が痛む場合は中止し、足の位置や別の運動を担当者と相談してください。これは股関節の運動の候補であり、階段動作をこれだけで置き換えるものではありません。

3.低い段差でのステップ動作

立ち座りなどが行えて、担当者から段差練習が適切と判断された段階で検討します。手すりなどの支えを確保し、低く安定した台への上り下りから始めます。台は滑らないものを使い、本やクッションは積み重ねません。

下りる練習では、支える脚の膝を少し曲げ、反対の足を床にそっと触れさせて戻します。体が落ちる、支えを使っても怖い、痛みが増えるときは、台を低くするか前の段階へ戻します。

つらいときは「深さ・支え・量」のどれか一つを変える

困っていること 最初に試す調整 確認すること
深くしゃがむと痛い 高めの椅子で範囲を浅くする 同じ範囲なら落ち着いて反復できるか
段差で体が落ちる 台を低くし、手すりを使う ゆっくり戻れるか、怖さが減るか
後半ほど痛む 一回の回数を減らして休む つらさが回数とともに増えないか
翌朝の階段が普段よりつらい 前回の運動量と生活の負荷を見直す 負荷を戻して経過が落ち着くか

深さ・回数・重さを一度に増やすと、何が影響したのか分かりにくくなります。進めるときも一つずつ。痛みの数字だけで安全と決めず、腫れ、歩き方、動きの安定、翌日の生活への影響も見ます。

記録例:翌日に答え合わせをする

以下は説明用の架空例です。実際の患者さんの経過や効果を示すものではありません。

月曜:椅子からの立ち座りを少量実施。夕方の階段は普段と同じ。
火曜朝:痛みと腫れは普段と同程度。次回も同じ量で確認。
木曜:仕事でしゃがむ回数が多かった。練習も増やしたら翌朝つらい。次回は前の量に戻し、仕事の動作も相談する。

メモするのは「種目・量・その日の活動・翌朝」の4点。毎日少しずつ悪くなるなら、我慢して続けず計画を見直しましょう。

よくある疑問

膝がつま先より前に出たら、必ず悪い?

それだけでは判断できません。必要な動き、負荷、本人の反応によって調整します。最初は浅く・支えありで行い、目標に合わせて徐々に動く範囲を広げる方法があります。[2]

痛みがなくなったら、すぐ元の練習量に戻してよい?

一回できることと、反復しても翌日の生活に響かないことは別です。段差、走る時間、ジャンプ回数など、戻したい活動の量も少しずつ確かめます。

動画の人とフォームが違うのが気になります

体格や可動域、目的はそれぞれ違います。見た目を完全に合わせるより、支えを使えば安定するか、範囲を小さくすればつらさが減るかを確認しましょう。迷う場合は動作を担当の理学療法士に見てもらうと相談しやすくなります。

あわせて読む

参考資料・動画

  1. Neal BS, et al. Best practice guide for patellofemoral pain based on synthesis of a systematic review, the patient voice and expert clinical reasoning. 2024. DOI: 10.1136/bjsports-2024-108110(運動療法・教育と個別化の根拠)。
  2. E3 Rehab:Patellofemoral Pain(2021)。負荷・難度の調整に関する制作者の解説。関連YouTube動画。
  3. Physiotutors:Hip & Knee Strengthening Protocol | Patellofemoral Pain Syndrome PFPS(2018)。概要欄の対象と参考文献を確認。動画は動作理解の補助であり、個別の診断・処方を代替しません。
  4. NHS:Knee pain(受診を優先する症状の参考)。

資料確認日:2026年10月19日。本文はPT NOTEが独自に構成した一般向け解説です。動画・画像の転載や全文翻訳は行っていません。運動例と調整表は参考資料を踏まえた編集上の整理であり、研究で検証された一律の治療手順ではありません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました