階段を上るとき、しゃがむとき、走るときに、膝のお皿のまわりが痛む。そんなときに考えられるものの一つが、膝蓋大腿関節痛です。英語ではpatellofemoral pain(PFP)と呼ばれます。
ただ、膝の前側の痛みには、膝蓋腱の障害や成長期の問題などもあります。この記事では、診断の手がかりと、運動療法の考え方を紹介します。

膝蓋大腿関節はどこ?
膝蓋骨は、いわゆる「膝のお皿」の骨です。大腿骨の前側との間に膝蓋大腿関節をつくり、膝を曲げ伸ばしするときに関わります。お皿のまわりや奥に痛みを感じ、階段やしゃがむ動きなどで症状が出ることがあります。〔1〕
膝から音が鳴るからといって、軟骨が傷んでいるとは判断できません。診察では、痛む位置や腫れ、始まったきっかけ、困る動きを合わせて確かめます。
「膝が内側に入るから」と決めつけない
体の使い方は確かめる材料の一つですが、見た目だけで原因を決めつけることはしません。練習量が変わったか、今の筋力はどうか、どの動きで症状が出るか、本人は何を目標にしているか。こうした点を整理していきます。
2024年のベストプラクティスガイドでは、本人の状況を理解したうえでの教育と、運動療法が基本として示されています。運動療法は膝が中心で、必要に応じて股関節も含みます。〔2〕
最初に運動量を整理する
「走ると痛い」という場合は、どのくらいの距離や速さ、どんな地形で痛むのかを記録します。「スクワットで痛い」という場合は、深さや回数、重りの有無を分けて確かめましょう。
| 困る動作 | 調整を相談する例 |
|---|---|
| 階段 | 回数、荷物、休憩 |
| スクワット | 深さ、回数、重り |
| ランニング | 時間、速さ、坂道 |
| 長く座る | 姿勢、途中の動き |
下の表は、相談のための整理表です。「この姿勢が誰にとっても正しい」と示す一覧ではありません。
運動の例:高めの椅子から立つ
運動をしてよいと確認できたら、動かない椅子を使った立ち座りが候補になります。足の裏を床につけ、必要なら手も使いながら、無理のない範囲で立ち上がって戻ります。低い椅子や深いしゃがみ込みから始める必要はありません。
最初は数回だけ試して、痛みと動きを確かめる方法があります。具体的な回数は、人によって調整します。重りを加える前に、終わったあとや翌日の反応を見ておきましょう。
股関節の運動も必要?
膝だけでなく、股関節まわりの筋力を評価して、メニューに加えることがあります。全員に同じ運動を足すのではなく、評価と目標に合わせて選びます。〔2〕
たとえば、立ち座りはできても、片脚の動きが難しい場合を考えてみます。どの段階から練習するかは、担当者と一緒に決めましょう。フォームの一部だけにこだわりすぎず、痛みや、やりやすさも伝えてください。
早めに受診したい症状
膝が強く腫れる、体重をかけられない、動かせない、引っかかって伸びないといったときは、運動を進めず診察を受けてください。熱っぽさや赤みに加えて発熱がある場合も、すぐに相談しましょう。〔3〕
お皿のすぐ下の腱が痛むときはジャンパー膝、成長期でさらに下の骨の出っ張りが痛むときはオスグッドの記事も参考にしてください。痛む場所だけで自分で判断するのは避けましょう。
参考資料
- 1. AAOS OrthoInfo. Patellofemoral Pain Syndrome.
- 2. Neal BS, et al. Best practice guide for patellofemoral pain. Br J Sports Med. 2024.
- 3. NHS. Knee pain.
資料確認日:2026年10月9日。記事内の記録表・相談例はPT NOTEによる整理です。運動の開始量や進め方は個別に調整してください。この記事は一般的な情報であり、個別の診断・治療を代替しません。


コメント