足の裏を見ると土踏まずが低い。靴の内側が減っている。そんなとき「扁平足だから、将来悪くなるのでは」と心配になることがあります。
土踏まずが低いという見た目だけで、治療が必要と決まるわけではありません。痛み、歩きにくさ、変化の経過を併せて考えることが大切です。この記事では、主に成人の扁平足を対象に、何を確認し、どんなときに相談したいかを整理します。
足部アーチは、体重を受けながら働く構造
足部アーチには、足の内側・外側を縦に走るアーチと、横方向のアーチがあります。骨の並びに加え、靱帯、足底腱膜、足やすねの筋肉などが関わります。教科書では、衝撃を受け止める柔軟さと、蹴り出しで力を伝える働きを説明しています。[1]
アーチは、立っている間ずっと高い形を保つだけのものではありません。体重や動作に合わせて形が変わります。写真一枚で「機能が悪い」と判断しないことが大切です。
痛みがない扁平足は、必ずしも治療の対象ではない
NHSは、扁平足があっても問題がなければ、通常は何かをする必要はなく、スポーツを含む活動を妨げるものでもないと説明しています。[2]「アーチが低い=走ってはいけない」ということではありません。
一方で、足の内側や足首の痛み、疲れやすさ、歩行の困難がある場合は評価の対象になります。見た目の形を変えることより、困っている活動を楽にすることを目標にしましょう。
まず「形・症状・動き」を分ける
| 見ること | メモの例 |
|---|---|
| 形の変化 | 前から両足とも低いのか、最近片側だけ変わったのか |
| 症状 | 内くるぶし周辺、土踏まず、踵など、どこがいつ痛いか |
| 動きと活動 | 立ち仕事、長距離歩行、走るときのどこで困るか |
| 生活の変化 | 歩行量や靴、練習量が変わっていないか |
土踏まずや靴底の減り方は手がかりにはなりますが、原因を確定するものではありません。評価では、体重をかけた姿勢だけでなく、歩行中の変化や筋肉の働きも確認します。[1]
成人で「最近、片側だけ変わった」は相談したい
以前は気にならなかったのにアーチが低くなった、片足だけ変化した、痛み・硬さ・しびれ・弱さがある場合は医療機関へ相談しましょう。NHSも、新しく生じた扁平足、片側だけの変化、歩行やバランスの問題などを相談の目安に挙げています。[2]
内くるぶし周辺の腱などが関わる場合もありますが、場所だけで病名は決められません。痛みを我慢して片脚の踵上げを何度も試すより、変化の時期と生活で困ることを伝えてください。
靴は、アーチの高さだけで選ばない
まずはサイズと幅が合い、踵が大きく浮かず、つま先が圧迫されないかを確認します。履いてすぐの感覚に加え、普段の歩行で症状が増えないかも大切です。「硬い靴なら必ずよい」「裸足なら治る」と一律には言えません。
新しい靴に変える日は、長時間の立ち仕事や長距離の練習を重ねず、短い時間から反応を見ると変化を捉えやすくなります。
インソールは「高い土踏まずを作る道具」だけではない
足の支持や負荷を調整するために検討します。目標は、見た目を一定の形に押し込むことより、痛みや活動のしやすさを確認することです。NHSも靴、インソール、運動などを症状に対する選択肢として挙げています。[2]
土踏まずへの強い圧迫、しびれ、皮膚の赤みが続くものを我慢して使わないでください。高額・特注なら必ず優れていると決めず、目的、適合、使う靴、使用後の反応を担当者と確認しましょう。
運動は、形を変える保証より「使える足」を目標に
足趾を動かす運動や、アーチを支える筋肉の練習、踵上げなどが検討されます。ただし、痛みがある方に同じメニューを一律に勧めるものではありません。負担のかかっている場所と、どの動作が課題かを評価して選びます。
例えば座った姿勢で足趾をゆっくり動かすなど、楽にできるところから確認します。指を強く丸め続ける、土踏まずを無理に持ち上げるといった力みは不要です。練習で痛みが出る場合は続けず相談します。
「毎日やればアーチが必ず高くなる」とは言えません。歩ける時間、疲れ方、痛みの経過など、生活の変化を見ていきましょう。
子どもの足は、成人と分けて考える
成長途中の足ではアーチの見え方が変わります。成人向けの説明や装具をそのまま当てはめず、痛み、歩き方、左右差など気になることがあれば相談しましょう。
相談に持っていくと役立つもの
- 普段使う靴とインソール。
- 痛む場所と、症状が出るまでの活動量のメモ。
- 左右差や形の変化に気づいた時期。
足の形を心配するところから、生活のどこを改善したいかへ。そこまで整理すると、靴や運動も選びやすくなります。
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参考資料
- 阿久澤弘「足部アーチの過剰低下(扁平足)」pp.110、119。片寄正樹 監修、小林匠・三木貴弘 編集『足部・足関節理学療法マネジメント』メジカルビュー社、2018年。
- NHS:Flat feet(2025年更新)。
資料確認日:2026年10月22日。一般的な学習・情報提供を目的とした記事です。表や説明はPT NOTEが独自に構成し、教科書の図・写真・本文は転載していません。個別の診断や運動処方は担当の医療職に相談してください。


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