アキレス腱のリハビリでよく行う踵上げは、同じ運動名でも、負荷が大きく変わります。座って行うのか、両脚か片脚か、重りを加えるのか。選び方を理解して進めましょう。
この記事は、アキレス腱障害と診断され、運動を始めてよいと確認できた方に向けた内容です。突然の痛みや断裂が疑われるとき、手術後の場合は、当てはめないでください。

まず痛む場所と診断を確認する
腱の途中が痛む場合と、踵の骨についている部分が痛む場合では、運動の範囲の調整が変わることがあります。とくに付着部が痛む方は、段差から踵を深く下げる方法を、自己判断で始めないでください。〔1〕
アキレス腱障害の基本記事でも解説しています。足の裏側の踵が痛むときは、足底腱膜炎など、別の原因も確かめる必要があります。
踵上げを行う目的
腱に関わる筋力を、段階的に戻していく運動が、リハビリの選択肢になります。負荷をかけすぎると悪化することがあるため、量と反応を確かめながら進めます。〔2〕
目的は、痛い場所を伸ばすことだけではありません。歩く、走る、跳ぶための力を、今の状態に合った負荷から戻していきます。
床での両脚踵上げ
壁や手すりに手を添えて、両脚で立ちます。前足部を床につけたまま、踵をゆっくり上げて、元に戻します。反動は使いません。体重が片側に逃げていないかも確かめましょう。
最初は少ない回数で試して、反応を見る方法があります。たとえば5回を試して記録する、という使い方です。ただし、この数字は誰にでも当てはまる処方ではありません。担当者から回数や頻度の指定があれば、そちらを優先してください。
負荷を変えるときの順序
| 変える要素 | 確認したいこと |
|---|---|
| 回数 | 最後まで同じ動作で行えるか |
| 両脚から片脚 | 片側をかばわず支えられるか |
| 重り | 運動後と翌朝に悪化しないか |
| 速い動作・ジャンプ | 走行や競技への準備ができているか |
下の表は、負荷の種類を整理したものです。この順番どおりに必ず進むプログラムではありません。座った姿勢の運動から始めることもあれば、段階を戻すこともあります。
翌朝も記録する
運動中はできていても、終わったあとや翌朝に症状が増えることがあります。回数だけでなく、痛む場所、朝のこわばり、歩きやすさも記録しましょう。
たとえば「片脚に変えた日から、翌朝に歩きにくい」と分かれば、片脚へ進む時期や量を相談できます。痛みの点数だけで安全と決めず、動きや生活への影響も伝えてください。
よくある疑問:毎日たくさん行うほどよい?
運動は、多ければよいというものではありません。練習や立ち仕事も含めた負荷のなかで、回復の時間を確保します。強さ、回数、頻度を同時に増やさず、計画は担当者と調整しましょう。
急に蹴り出せなくなった、音や断裂したような感覚とともに痛みが出たといったときは、トレーニングを中止して、すぐ医療機関で確かめてください。腱障害の運動で、断裂を自分で治そうとしないことが大切です。
参考資料
- 1. 手元資料『足部・足関節理学療法マネジメント』アキレス腱障害の評価・運動療法の項。
- 2. Guy's and St Thomas' NHS Foundation Trust. Achilles tendinopathy.
資料確認日:2026年10月9日。記事内の記録表・相談例はPT NOTEによる整理です。運動の開始量や進め方は個別に調整してください。この記事は一般的な情報であり、個別の診断・治療を代替しません。


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