キックや切り返しのたびに、脚の付け根が痛む。スポーツの現場では「グロインペイン」と呼ばれることがありますが、これは特定の組織の病名ではありません。
鼠径部の痛みには、筋肉や腱、股関節、そのほかの原因が関わることがあります。この記事では、痛みを整理して相談するための基本を紹介します。

グロインペインは「脚の付け根の痛み」
2015年のDoha合意では、スポーツ選手の鼠径部痛を、内転筋関連、腸腰筋関連、鼠径部関連、恥骨関連などの臨床分類と、股関節関連、そのほかの原因に整理しています。いくつかが重なっている場合もあります。〔1〕
この分類は診察をもとに使うもので、自宅で押して痛かった場所だけから決めるものではありません。「内ももが硬いから」と一つに決めてストレッチを続けるのではなく、原因を確かめましょう。
どの場面で痛むかを分ける
同じサッカーでも、軽いパス、ロングキック、方向転換、ダッシュで、症状が違うことがあります。痛む部位に加えて、動きの種類や強さ、頻度も記録しておきましょう。
| 場面 | 相談の例 |
|---|---|
| キック | 短いパスと強いキックの違い |
| 方向転換 | 左右のどちらで痛むか |
| 走行 | 加速、全力走、ゆっくり走 |
| 日常生活 | 歩行、階段、座位での症状 |
この表は診断のためのものではありません。痛む動きを何度も再現しようとせず、覚えている範囲でメモしてください。
最初に練習負荷を調整する
痛みが強くなるキックや切り返しを繰り返しているなら、活動の中身を見直します。たとえば「練習時間は半分にしたけれど、強いキックの回数は同じだった」ということもあります。時間だけでなく、内容まで分けて伝えましょう。
股関節まわりの筋損傷では、痛みや関節の動き、筋力を評価して、運動療法を選びます。〔2〕 ただし、グロインペイン全体を筋損傷として扱うことはできません。診断に合わせて、必要な運動と避けたい負荷を確かめてください。
内転筋トレーニングをすればよい?
内転筋は評価する組織の一つですが、すべての鼠径部痛に同じトレーニングが処方されるわけではありません。痛みがあるのに、負荷の高い内転筋の運動を自己判断で始めるのは避けましょう。
担当者には、力を入れる運動をどのくらいの強さで行うか、股関節や体幹の運動を組み合わせるか、競技の動きにどう戻していくかを相談してください。「どこを鍛えるか」だけでなく、「今どのくらいの負荷なら耐えられるか」を確かめることが実際には役立ちます。
受診時に伝えること
- いつから、突然か徐々に痛くなったか
- 痛む場所と動作
- 日常歩行や安静時の痛み
- 練習量の変化と過去のけが
- 運動以外の体調変化や症状
鼠径部の痛みには、運動器以外の原因もあります。運動と関係なさそうな症状も、省かずに伝えましょう。強い痛みや、歩くのが難しい、急に悪化したといったときは、練習を中止して早めに医療機関へ相談してください。
復帰では競技の要求を具体的にする
ジョギングができても、全力のキックや、予測できない切り返しは別に確かめます。参加する練習の内容を具体的にして、終わったあとと翌日の反応も共有しましょう。筋損傷の基本はハムストリングスの肉離れでも扱っています。
参考資料
- 1. Weir A, et al. Doha agreement meeting on terminology and definitions in groin pain in athletes. Br J Sports Med. 2015;49:768–774.
- 2. AAOS OrthoInfo. Hip Strains.
資料確認日:2026年10月9日。記事内の記録表・相談例はPT NOTEによる整理です。運動の開始量や進め方は個別に調整してください。この記事は一般的な情報であり、個別の診断・治療を代替しません。


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